転職1年未満で育休は取れない?辞める前に確認する5つのポイント
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300件以上の育休相談に対応してきたベンゾー(@ikukyu_hotline)です。
転職1年未満の育休について、こんなツイートをしました。
この記事ではツイート内容をさらに詳しく解説します。
先に結論を言うと、育休を取れる可能性は十分にあります。辞めるのはもったいないです。
育休のことと合わせて、育児休業給付金の解説もしていきます
読んでいただきたいのは以下の方。
- 転職直後だけど、育休を取りたい
- これから転職するけど、育休を取りたい
- さらに育児休業給付金も欲しい
転職直後の育児休業給付金は、普通の育児休業給付金より条件が厳しくなります。
ただでさえ育児休業給付金をもらう条件は難しいのに、転職がからむことでさらに難しくなるんです。
いろんな解説サイトを見たけど、私がもらえるのかわからない・・・
「転職×育児休業」はややこし過ぎるので一人で理解しようとするのは無謀です
私のところに来る質問でも、転職がからむものが一番多いですね。それだけ悩んでいる方が多いんです。
転職直後。特に入社1年未満のときに育児休業給付金をもらう場合は、以下のことに注目してみてください。
- 前職退職後の離職票を持っていること
- 前職退職から現職就職までの期間
- 完全月を考慮して月を数える
- 転職先の契約内容
- 転職先の就業規則
なぜこれらに注目するのか、具体例も交えて解説していきます。
この記事を読んでいただければ、「どうやったら自分も育児休業給付金をもらえるのか」がわかります。
この記事の情報は・・・
- 厚生労働省管轄の育児・介護休業法
- 雇用保険手続きの手引き-育児休業給付について
- 雇用保険に関する業務取扱要領-育児休業給付関係
- 雇用保険に関する業務取扱要領-一般被保険者の求職者給付
- 法令検索サイトe-gov-育児介護休業法
を要約した内容になっています。
この記事の内容は、以下の動画でも解説しています。
【追加される条件】転職直後に育児休業給付金をもらうために注目する5つのこと
転職が育児休業給付金とからむことで、いくつか追加される条件があります。
追加された条件もクリアするために、以下の5点について注目しましょう。
- 前職退職後の離職票を持っていること
- 前職退職から現職就職までの期間が1年未満
- 完全月を考慮して月を数える
- 転職先の契約内容
- 転職先の就業規則
①前職退職後の離職票を持っていること
転職直後に育児休業給付金を受給するなら、「離職票」が必須です。
転職先に離職票の提出をするようにしましょう。
ここで注意することは「退職後ハローワークへ行かない」ということ。
離職票とは・・・
「退職した会社でこれくらいの期間働いていたよ。このくらいの給料をもらっていたよ。」と、証明する書類。
退職後に会社が行政手続きをして、退職後1~2週間程度で退職した会社から渡されます。
離職票を育児休業給付金で使うとどうなるの?
育児休業給付金をもらう条件をクリアしやすくなります
離職票を育児休業給付金の申請に使うと、「11日以上の出勤が12ヶ月以上」という条件をクリアしやすくなります。
例えば、離職票の中に「11日以上の出勤」をクリアしている期間が5ヶ月分あったとします。
そうすると、現職で「11日以上の出勤」をクリアしている期間は「12ヶ月ー5ヶ月=7ヶ月」だけで良くなるんです。
離職票を使って前職の期間も見てもらえるなら、育児休業給付金の条件をクリアできそう!
ところが離職票を使えないケースがあります。
先に書いたように、離職票があれば「前職の期間+現職の期間」で12ヶ月を満たせば良くなります。
しかし失業保険と育児休業給付金の両方で使うことはできません。
失業保険以外にも、ハローワークで受給できるお金全般で離職票を使うので、うっかりとハローワークで手続きをしないように気を付けておきましょう。
うっかり離職票を使ってたらどうなるの?
転職先の勤務期間だけで育児休業給付金の条件(11日以上出勤を12ヶ月以上)をクリアしないといけなくなります。前職分が使えなくなるんです。
基本的には失業保険より、育児休業給付金の方がもらえる金額が大きいです
結論、出産を控えているときに転職する場合は、ハローワークへ行かずに離職票を保管しておきましょう。
行かなければ手続きしようが無いので安心。
失業保険で使ってないけど、離職票がどっかいっちゃった。。。大事な書類だと思ってなかった。。。
もし離職票を紛失してしまったとか、そもそも前の職場から届いていないという場合も安心してください。
離職票の再発行手続きをするだけで対応可能です。
再発行手続きは、ハローワークの窓口で簡単にしてもらえるので、ササっと終わらせましょう。
前の職場から届いていない場合も「再発行」なの?
筋を言うなら前の職場が送るべきです。でも再発行した方が早くて確実。
- 「離職票」は前職の勤務を証明する書類
- 離職票を使うと、受給しやすくなる
- 失業保険の手続きをすると、離職票を使えない
- 転職直後に育児休業給付金をもらうなら、ハローワークに行かないこと
- 「紛失or前職場から届いていない」は簡単に対応可能
②前職退職から現職入社までの期間が1年未満
前職の離職票を使うために条件はあるの?
前職を退職してから1年以内に現職に就いていないとダメです
先に説明をした通り、離職票を使えば前職の期間を使うことができます。
しかしこれは退職してから1年以内に現職に就いている場合に限る。という条件付き。
だから退職後3年くらいして現職に入社した場合、前職の期間は使えません。
③完全月を考慮して月を数える
現職に入社した月は「完全月」という考え方によって、「11日以上の出勤があった月」として数えられない可能性があります。
「完全月」という考え・・・
対象期間中に雇用保険に加入していない日が含まれる場合、その対象期間は11日以上であっても1ヶ月分として数えない。という考えです。
(何を言ってるのか全然わからない・・・)
(大丈夫!わかりやすく噛み砕きます!)
結論だけ言うと完全月を意識しないといけないのは以下の人。
- 就職して4年以上経つ人なら気にしなくてOK
- 就職して4年以内に出産する人は一応チェックするべき
- 就職して2年以内に出産する人は絶対チェックするべき
気にしないといけない人の場合は「【育児休業給付金の完全月とは?】自分にも関係ある?具体例と対策を解説」で詳しい解説をしているので、チェックしておいてください。
もちろんわからなければ、私に相談してもOKです
➡️ 【悩み丸投げOK】育児休業給付金の相談をベンゾーにする方法
④転職先の契約内容(令和4年4月1日以降改正!)
コチラの内容は令和4年4月1日以降に改正されます。
改正内容は「【令和4年4月1日から】育児休業法改正は子育て世代全員に影響がある?」をご覧ください。
有期契約で雇われた場合、育児休業給付金をもらう条件が追加されます。
有期契約??
有期契約とは・・・
「とりあえず1年働いてみようか」というように、働く期限を設けてある契約のこと。
真逆の契約として、正社員のように「基本的には定年まで働いてOK」というある意味無期限に働く契約がある。
パートやアルバイトの多くは、有期契約です
有期契約で追加される条件はいくつかありますが、重要なのは「有期契約の場合は同じ事業主のもとで1年以上勤務していること」という条件。
つまりパートやアルバイトは転職直後って理由だけで育児休業給付金をもらえません。
そんな・・・ひどいよ・・・
・・・と、この辺で解説が終わるサイトが多いんですが、実際に手続きをしている私から言わせれば続きがあります。
結論、そんなに悲観しなくてOKです。
- 育児休業が始まるのは、出産後約2か月後から
- 産前休業も入れると、お休みに入った日の約3ヶ月後から
そもそも育児休業が始まるのは、産休でお休みに入った約3ヶ月後のこと。
どんな状態で転職するかは人それぞれですが、少なくとも私がこれまで相談にのった方で、「来月出産します」という状態で転職を決めた人はいないです。
たしかに出産直前に転職は無いかも
何が言いたいかっていうと、妊娠発覚の前後で転職をした場合、普通に過ごしていれば育児休業を開始するころにはほぼ1年経っていませんか?ってことです。
仮に1年経っていなかった場合、最初は単なる欠勤として扱ってもらい、1年経ったときに育児休業を取れば良いんです。
「普通に出勤⇒産休⇒しばらく欠勤扱い⇒育児休業」
という感じで、間に欠勤が入ります。
育児休業の終了は1歳の誕生日の前日までなので、少し短くなってしまいます。ここは我慢してください。
コチラの内容は令和4年4月1日以降に改正されます。
改正内容は「【令和4年4月1日から】育児休業法改正は子育て世代全員に影響がある?」をご覧ください。
⑤転職先の就業規則
多くの会社では就業規則に「入社1年未満の人からの育児休業の申し出は断ることができる」というルールを入れています。
これはパートやアルバイト、有期契約や正社員であっても変わらないルール。
法律上認められているので、会社から「あなたは1年経ってないので育児休業は認めません」と言われてしまうと取れないことになります。
ひどい・・・
・・・という解説で終わるサイトが多いですが、実際に手続きをしている私からすれば続きがあります。
会社側の目線で考えてみてください。
これから子供を育てようという方に対し、「休んだらダメですよ」って言えますか??
法律上言えたとして、倫理的に言えませんよね。
「1年未満の人の育休は断れる」というルールを設けている会社は多いですが、使っている会社は少ないというのが実際のところです。
だから安心して会社に「育休取らせて欲しい」と伝えてください。
この場合、育休を取ることは当たり前ではありません。あくまでも会社側が「本当はダメだけど倫理的にダメと言えないからOK」という感じ。
だから、「育休取れて当たり前」という態度でいくと、断られてしまうかもしれません。要注意。
ちなみに私が本業で就業規則を作るとき、このルールを入れるかどうか会社に確認します。
そのときの会社側のリアクションは「使わないと思うけど、一応入れておきましょうか」が多いです。
会社側もあんまり使う気が無いルール。安心してください。
会社や仕事にこだわりが無いなら、育休に前向きな派遣会社に登録するというのもアリです。
法改正によって従来よりも育休を取りやすくなった派遣社員。子育てと仕事の両立をしたい方にオススメの働き方です。
【具体例で解説】転職直後に育児休業給付金をもらうために注意すること
ここでは具体的な事例を使って解説していきます。
前職で十分に働いた上で、転職した場合
~事例~
前職で3年勤めた後に転職。現職では2年勤めている。
最近、妊娠が発覚したので来年には育児休業に入る予定。
- 前職で数年間働いた上で転職
- 現職でも1年以上勤めている
まったく問題無いですね。
前職でも十分働いていますが、この事例なら現職の期間だけで条件を満たしてくれます。
前職退職後に失業保険を受給して、転職した場合
~事例~
前職で3年勤めた後に退職。
退職時にはハローワークへ行って失業保険を受けてきた。
その後、現職に就職して育児休業を取ることになった。
- 前職で数年間働いた上で転職
- 退職後に失業保険を受給した
この場合、失業保険の手続きをしているので前職の期間は使えません。
なので現職だけで数えて「11日以上の出勤が12ヶ月以上」という条件をクリアする必要があります。
前職を辞めたあと、半年ほどゆっくりして転職した場合
~事例~
前職で3年勤めた後に退職。
その後、半年ほどゆっくりしていたら妊娠が発覚。
妊娠中にした転職活動により、新しい会社に就職が決定。
予定では就職して8ヶ月後に産休に入ることになった。
- 前職と現職を合わせれば条件をクリアできる
- 前職と現職との空白期間が半年ほど
- 現職に入って8ヶ月後に産休に入る予定
無期契約で就職したのであれば、問題ありません。会社が育児休業を取らせてくれれば受給可能です。
※会社は入社1年未満の育児休業は断ることもできる。(実際はあんまり断らないけど)
有期契約の場合「同じ事業主のもとで1年以上勤務していること」という条件が追加されます。
しかし、8ヶ月後に産休ということは、育児休業に入るのは11ヶ月後のこと。
1ヶ月だけ給付金をもらえない時期ができますが、育児休業給付金をもらうことはできます。
前職と現職の日数を合わせて、ギリギリ12ヶ月ある場合
~事例~
前職で3ヶ月勤めて退職。
転職活動中に妊娠が発覚したけど、無事転職成功。
現職では9ヶ月ほど働いてから産休に入る予定。育児休業に入るのは入社10ヶ月後になる予定。
- 前職と現職を合わせると、ギリギリ12ヶ月になる。
ギリギリでアウトかセーフかってところ。
単純に計算すると「前職の3ヶ月+現職で産休までの9ヶ月=12ヶ月」になります。
しかし、入社した月は場合によって「完全月」のせいでカウントできないかもしれません。
アウトかセーフかは出産日がどれくらいズレるかで決まるので、不安定な状態。
もし、私がこのようなケースの相談を受けたら、「有給休暇を使ってもう1ヶ月分確保しましょう」と提案します。
転職先の就業規則に「入社1年未満は断れる」と記載されていた場合
~事例~
前職で3年勤めて退職。
転職活動中に妊娠発覚したけど、無事転職成功。
現職では半年後に育児休業に入る予定。
会社の就業規則には「入社1年未満は断れる」と記載されている
- 前職の期間を使えば育児休業給付金の条件はクリアできる
- 現職では入社1年未満で育児休業に入ることになる
- 就業規則には「入社1年未満は断れる」と書かれている
現職で育休に入れれば問題無い状態です。
この場合は職場に頼み込んでみるしかないですね。
まとめ|入社1年未満でも育児休業給付金をもらう条件を解説
- 退職後ハローワークへ行かない
- 空白期間は1年未満にする
- 完全月には気を付けて計算する
- 契約は「有期or無期」をチェック
- 入社1年未満の育休取り扱いを確認
育児休業給付金のややこしい制度のせいで、「転職をする=育児休業給付金を諦めないといけない」という誤解をしている方が多いです。
しかし実際には育児休業給付金をもらえるケースも多いわけで、諦めるのはもったいない。
とはいえ難しい制度がより一層難しく感じるかと思うので、「自分じゃ無理!」って思ったらいつでもご相談ください。
転職とからむ相談が一番多いです。遠慮なくご相談ください