【令和4年4月1日から】育児休業法改正は子育て世代全員に影響がある?
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社労士事務所に6年勤務しているベンゾー(@ikukyu_hotline)です。
令和3年6月3日。育児休業に関する法改正が成立しました。
この記事では厚労省が発表した「育児・介護休業法について」を噛み砕いて解説していきます。
令和4年の法改正では、多くの子育て世代に良い影響があります。
- 子育て世代全員
- 特にパート、バイト、派遣社員
- 男性
なんか育休で法改正があったみたいだけど、私にも影響あるのかな?
今回の改正は子育て世代全員に影響があります
「難し話は理解できない」「現状の育休制度もわからない」
そんな状態で「法律が変わったよ」と言われても、難しいですよね。
でも、育児休業給付金は子育て世代の重要な収入源。絶対にわかった方が良いです。
今回の改正をひとことで言うと「不公平感が減る改正」です!
なぜこのような結論になるのか解説していきます。
この記事を読めば、新しい法律を有効活用できるようになります。
この記事の情報は・・・
- 厚生労働省管轄の育児・介護休業法
- 雇用保険手続きの手引き-育児休業給付について
- 雇用保険に関する業務取扱要領-育児休業給付関係
- 雇用保険に関する業務取扱要領-一般被保険者の求職者給付
- 法令検索サイトe-gov-育児介護休業法
を要約した内容になっています。
【育休改正の概要】子育て世代全員に影響があります!
不公平感が減る改正|育児休業給付金を受け取りやすくなった
今回の法改正。ひとことで言うと不公平感が減る改正。
なぜなら今回の改正が適用された後は、雇用形態の違いや出産日のズレで育児休業給付金を諦めなくちゃいけない人が減るからです。
個人的には良い改正と思っています
「#男性版産休」がトレンド|その他の改正も注目
成立当日(令和3年6月3日)はTwitterでは「#男性版産休」というタグがトレンドに。
ただ、今回は7つの改正が成立しており、「#男性版産休」で語られているのはその内の1つだけ。
個人的には以下の改正の方がインパクトが強かったです。
- 有期契約社員の1年ルール廃止
- 保険料免除の改正
- 特例基準日の創設
その他の改正も含めて解説をしていきます。
【男性従業員に影響あり】育児休業の法改正
男性版産休|出生時育児休業ができました(令和4年10月1日~)
- いわゆる男性版産休
- 正式名称「出産時育児休業」
- 令和4年10月1日開始
まずはトレンドにもなった「男性版産休」。
正式名称は「出産時育児休業」で、制度が始まるのは令和4年10月1日から。
産後休業期間(出産後8週間)に使える育児休業ってイメージで、最大4週間分使えます。
男性って元々出産後8週間に育児休業を使えたような・・・
その通り!「出産時育児休業」は、従来の育児休業より使いやすくなっています。
従来の育児休業はまとめて休む必要がありますが、今回創設された出産時育児休業は出勤日を作っても良いとされています。
例えば従来の育児休業で1ヶ月休む際、「毎週水曜と金曜は会議があるから出勤する」という休み方はできません。
なぜなら毎週固定で出勤する日を作ると、その時点で「復職した」とみなされるからです。
しかし出産時育児休業では、会社と相談をした上で出勤する日と休む日を作れます。
これにより、「丸々1ヶ月休むのは仕事的に厳しい」という方でも産後の忙しい時期に休みを取ることができるわけです。
上の子の世話を、日中もパパがやってくれたら嬉しい!
本当は丸々1ヶ月でも2ヶ月でも休むことが理想ですが、現実的に厳しいと言う方は出産時育児休業を利用してみましょう。
【パートアルバイト派遣に影響あり】育児休業の法改正
待望の改正|有期契約の1年ルール廃止 (令和4年4月1日~ )
- 有期契約者の1年ルール撤廃
- 主にパート、アルバイト、派遣社員で、入社後すぐ出産した人に影響あり
- 「入社1年未満の育休は断ることができる」という会社の権利が残る
- 令和4年4月1日から開始
個人的には一番大きな改正。
従来の法律で有期契約者が育児休業給付金を受給するには、少し厳しい条件がありました。
「同じ事業主のもとで1年以上雇用されていること」という条件。私は「有期契約者の1年ルール」と呼んでいます。
今回の改正で、有期契約者の1年ルールが撤廃されました。
ただし「入社1年未満の従業員からの育休の申し出を、会社は断ることができる」というルールは残ります。
似たようなルールですが、違いは「断るかどうかを会社が決められる」という点です。
今回撤廃されたのは「そもそも受給資格が無い」というもの。
つまり、「受給資格があるけど会社によっては断られる」ってことです。
それじゃあ意味ないじゃん・・・
しかし「会社は断ることができる」というルールが使われることは少ないんです。
脱線しちゃうので結論だけ言うと、あんまり心配いりません。
詳細は転職1年未満で育休は取れない?辞める前に確認する5つのポイントをご覧ください。
入社1年未満の人が育児休業給付金を受けとる方法を解説しています。
今までより安心して転職できる!
「育休が欲しいから辞めたい会社を辞められない」って悩みが解消されます
仕事と育児の両立に派遣社員がオススメ?法改正の影響
有期契約の1年ルール撤廃によって、一番恩恵を受けることになるのは派遣社員だと思っています。
子育て世代にとって、仕事と育児の両立は大変ですよね。
家庭の事情によって休みを取りたいことも増え、子育てによって就活をするような時間はほとんど取れない。
そういったときに便利なのが派遣という働き方。
派遣なら人員の代わりがきくので休みを取りやすく、就職活動もほぼ不要。忙しい時期にも働き始めやすいです。
- 人員の代わりがきく
⇒家庭の事情で休みやすい - 就活不要
⇒子育て忙しくても働き始められる
なので仕事と育児の両立をねらっている女性には、派遣という働き方をオススメしています。
より詳しい内容は「【子育て世代必見】働きやすさと育休が欲しい女性に派遣社員がオススメな3つの理由」をご覧ください。
【従業員全員に影響あり】育児休業の法改正
もう末日は気にしない|保険料免除の改正 (令和4年10月1日~)
- 保険料免除のルールが変わる
- 従来より緩くなった点と厳しくなった点がある
- 短期間で育休を取る人に影響あり
- 令和4年10月1日から開始
育児休業中の保険料は、給料からもボーナスからも免除されます。
従来のルールは「月末に育休を取っている」という条件。
そのため月初~下旬までの短期間で育休を取る場合、保険料はかかってしまうことも。
また、保険料免除を目的に「月末だけ育休を取る」という荒業を使う人もいました。
今回の改正でいくつかのパターンが増えました
今回の法改正により、給料の保険料免除は「月末に育休を取っている」or「月内に2週間以上育休を取っている」の2パターンに。
ボーナスの保険料免除は「1ヶ月超育休で休んでいる場合(つまり1ヶ月+1日以上)」の1パターンになりました。
給料とボーナスでルールが別になったの?
はい。給料は緩く。ボーナスは厳しくなりました。
良い意味でも悪い意味でも、「月末に育休を取る」というこだわりを持たなくて良くなりました。
事前チェックが重要に|特例基準日という新ルール( 令和3年9月1日~)
- 育休開始日以外の日を基準にできるようになった
- 事前に計算しておく重要性が高くなった
- 入社1年くらいで出産しそうな人に影響あり
- 令和3年9月1日から開始
なかなか面白い改正です。
従来のルールでは育児休業開始日を基準に、育児休業給付金の受給条件を確認していました。
改正後のルールでは、産休開始日を基準にできるように。
これを「特例基準日」と呼ぶようです。
出産日のズレで受給条件をクリアできなくなる事例が無くなります
「育児休業開始日」は出産日と連動してズレるため、事前に計算をしていても完璧なシミュレーションはできませんでした。
だから「予定日通りに産まれたら受給できるけど、3日ズレたら受給できない」なんてことも。(一応対策可能ですが)
さらに言うと従来の制度では「完全月」というものの影響も受けて、受給できなくなる方も。
「特例基準日」が使えることで、完全月の影響を減らすことができます。
完全月についてはコチラの記事をご覧ください。
一方「産休開始日」は出産日の影響を受けません。
法律上の産休開始日は決まっていますが、その通りに産休を取らなくても良いからです。
事前に計算しておけば、出産日がズレても計算通りに進められるってこと?
そうです!今までよりも事前のシミュレーションが重要になりました
出産日のズレを気にせず出産できるので、以前よりもストレス無く出産に挑めますね。
会社の義務|「育休わからない」とは言わせない(令和4年4月1日~)
- 育休制度の周知が義務化
- 「知らないから自分で調べて」と言えない
- 全従業員に影響あり
- 令和4年4月1日から開始
従業員から妊娠の報告を受けた会社は、産休や育休の制度を説明することが義務化されました。
今までもちゃんと説明をしていた会社が多いと思いますが、今後は絶対に説明しなくてはいけません。
このブログを見ている方から「会社が知らなくて申請を失敗してた」「何も教えてくれない」といった相談を受けることもあります。
今後は「知らないじゃ済まない」と主張できますね
とはいえ、現実としてどこまで会社に責任がいくのかは不明。
例えば切迫早産で休まなくちゃいけなくなった人は、「欠勤して傷病手当をもらう」か「有給休暇で基礎日数を稼ぐ」という選択肢があります。
順調に出勤をしてた方なら、傷病手当をもらった方が良いです。
しかし育児休業給付金の受給条件がギリギリの方であれば、有給休暇で基礎日数を稼いだ方が良いかもしれません。
「育休制度の説明」と言っても、法律の条文を事細かに説明できる人なんていませんし、線引きが難しそうです。
結局会社にはどこまで求めて良いの?
実際に新法律で運用されないとわかりませんが、「自分で調べて」という態度には抵抗できるはずです。
会社の義務になったとはいえ、自分のことなのでしっかり知識を付けておいた方が良いですね。
育休に積極的な会社|育休状況の公表義務化(令和5年4月1日~)
- 育休実績の公表が義務化
- 今は1000人超の会社。今後に期待
- 転職を検討してる人に影響あり
- 令和5年4月1日から開始
従業員数が1000人を超える会社は、育児休業の取得実績を公表する義務ができます。
新卒でも転職でも、会社選びの重要項目となりそうですね。
とはいえ、1000人を超えるような規模の会社であれば、公表しなくても十分な育休実績が予想できます。
むしろ期待しているのは、「1000人」という条件がどんどん下がっていくことです。
「条件が下がるって」どういうこと?
この手の規程は、最初は大企業。次第に中小企業でも義務化となることが多いです。
社会保険に加入するための条件。残業の割増率。36協定の新様式。
元は大企業だけの義務だったけど、後に中小企業でも義務となった規程はたくさんあります。
いずれ育児休業の実績を公表するのが当然になりそうですね。
柔軟に使える|育休を2回に分けて取得できる(令和4年10月1日~)
- 育休を2回にわけて取れる
- 柔軟に使えて、育休を取りやすい
- 一応全従業員に影響あり
- 令和4年10月1日から開始
従来の法律では、育児休業を同じ子のために2度取得することができません。
例えば育児休業を2ヶ月取得し、1ヶ月だけ職場復帰。その後にもう一度育児休業を取りなおすことは不可能です。
しかしこの法改正が適用された後は、上記のように育児休業を取りなおすことが可能になります。
連続で取らなくて良い分、今までより休みやすくなります
育児休業給付金の受給条件は何か変わるの?
少なくともこの改正では変わりません
育児休業給付金の代表的な取得条件は「11日以上出勤を12回以上」です。
ここで言う「11日以上」とは育児休業開始日を基準にした期間で数えます。
受給条件の詳細はコチラの記事をご覧ください。
このように「育児休業開始日」は受給条件に影響してきます。
今回の改正で育児休業を開始するタイミングが2回になるわけですが、受給条件に影響するのは1回目の育児休業開始日となっています。
受給条件が緩くなるわけじゃないですが、育児休業そのものは取得しやすくなりますね。
まとめ|今回の法改正は全員に影響があります!
- 男性従業員に影響あり
- 男性版育休として、取得しやすい育休が新設
- パートアルバイト派遣に影響あり
- 有期契約者の1年ルール廃止で、取得できる人が増える
- 従業員全員に影響あり
- 保険料免除のルール変更で、末日を気にしなくて良くなる
- 特例基準日で、給付金を受けやすくなる
- 育休制度の周知が会社の義務になる
- 一定の会社で、育休実績公表が義務化
- 育休を2回に分けて取得できる
新しい用語が増えたり、これまでの育児休業と大幅な変更が起きた法改正。
全体的に見ると良い改正ばかりなので、しっかり把握して利用できる制度は利用することをオススメします。
適用されてからの動きにも注目していきます