【よくある勘違い】育児休業給付金の相談150件答えて感じた、もらい損ねるパターン
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ほぼ毎日育休の相談対応をしてるベンゾー(@ikukyu_hotline)です。
育児休業給付金のよくある勘違いについて、こんなツイートをしました。
この記事ではツイート内容をさらに詳しく解説します。
読んでいただきたいのは以下の方。
- 自力で育休制度を調べた人
- 誰かに言われたことを鵜呑みにした人
- 正直よくわかってない人
自分で育休制度を調べてみたけど、認識が合ってるか不安だなぁ・・・
そもそもこの情報って正しいの??
もし勘違いしてたら100万円近く損する可能性があります
正しい情報を得るなら、厚生労働省が出している専門用語がびっしり100ページほど並んだ冊子を理解しなければなりません。
もちろんこんな情報をいきなり理解するのは不可能。
そこでこの記事では、年間150件以上の相談に回答している私が「この勘違いは特に多いな」と感じたものを厳選して解説します。
ざっくりまとめると以下の通り。
- 「在職期間1年未満で出産したら、育児休業給付金はもらえない」は×
- 「給与明細を見て11日以上出勤した月が12回以上あればOK」は×
- 「育休に入る直近2年の出勤日数で決まる」は×
この記事を読んで勘違いを見つけられれば、給付金をもらえるチャンスが広がります。
運営者のベンゾーに直接相談したい方はコチラからどうぞ。
この記事の情報は・・・
- 厚生労働省管轄の育児・介護休業法
- 雇用保険手続きの手引き-育児休業給付について
- 雇用保険に関する業務取扱要領-育児休業給付関係
- 雇用保険に関する業務取扱要領-一般被保険者の求職者給付
- 法令検索サイトe-gov-育児介護休業法
を要約した内容になっています。
この記事の内容は、以下の動画でも解説しています。
①「在職期間1年未満で出産したら、育児休業給付金はもらえない」は×
育児休業給付金には「1年」にまつわる条件がいくつかあります。
- 雇用保険の加入期間1年分という条件
- 入社1年未満の社員からの育休は拒否できる
- 有期契約の社員の場合、同じ雇用主のもとで1年いること
これらが混ざって勘違いしている人がいました。それぞれ解説していきます。
雇用保険の加入期間が1年分という条件
「雇用保険に加入して、11日以上出勤の月が12回以上必要」という条件があります。
この条件から「つまり在職1年以上じゃないとダメ」って解釈しちゃう方が多いんですが、これは間違いです。
なぜなら雇用保険の加入期間は、転職をしても引き継ぐから。
OKになる例
- A社で8ヶ月働いてからB社で7ヶ月働いた=合計15ヶ月働いてるのでOK
- A社で3ヶ月、B社で3ヶ月、C社で3ヶ月、D社で7ヶ月働いた=合計13ヶ月働いてるのでOK
なので在職1年未満で出産をしても、育児休業給付金をもらえるケースがあります。
ただし以下の場合は使えなくなるの要注意。
- 退職後にハローワークで雇用保険の手続きをする
- 退職~転職までに1年以上経つ
1年未満の社員からは拒否できるという規定の存在
入社1年未満の社員が育休を取りたいといった場合、会社側には拒否する権利があります。
ただし、こちらは就業規則で定めている必要があるので、全部の会社が同じという訳じゃありません。
拒否されちゃったら、会社辞めるしかないじゃん!?やばすぎるよ・・・
一見やばそうに見えますが、そんなに悲観することありません
あくまで私の体感ですが、この規定は存在していても実際には使っていないケースが多いんです。
なぜなら会社側にとって育休を取らせないメリットが無く、むしろデメリットの方が多いから。詳細は後述しますね。
私が就業規則を作るときもこの規定を入れるかどうかは確認します。
だいたいの会社が「一応入れといて」って言いますが、実際に該当する人が現れたとき、普通に育休を取らせています。
注意|有期契約社員の場合は条件が増える
「有期契約社員」というのは「とりあえず1年働いてみようか」というように、ある程度の期間を定めて雇用された社員のことを言います。
一般的にはパートやアルバイトの方が対象になっていることが多いです。
おそらく入社の際に説明がありますが、心配なら会社に確認してみましょう。
有期契約社員が育児休業給付金を受けとる場合、いくつか条件が加わります。
中でも注意が必要なのが、「同じ雇用主のもとで1年いること」という条件。
これは先ほど書いた「雇用保険の加入期間が1年分」という条件と似ていますが、違いは転職をしたらリセットされるということ。
もしかして「A社とB社合わせて1年」って状態はダメってこと??
その通り!
つまりパートやアルバイトが転職直後に出産をしても、育休は取れません。
・・・で解説を終えているサイトが多いので、たぶん勘違いをしてしまう人も多いんですよね。
実際に手続きをしている私から言わせればそんなに悲観しなくてOKです。
同じ話をコチラ↓の記事でもしているので、自分が「パートやアルバイト+出産を予定している」って方はご覧ください。
➡️ 転職1年未満で育休は取れない?辞める前に確認する5つのポイント
②「給与明細を見て11日以上出勤した月が12回以上あればOK」は×
相談を受けていて一番多い勘違いが、出勤日数を給与明細の出勤日数で数えているケース。
相談内容を読むだけで、「あ、この人もたぶん勘違いしてるパターンだな」ってわかるくらい多いです。
出勤日数の正しい数え方
まず最初に。給与明細に書かれる「出勤日数」は育児休業給付金を受けとる条件とは一切関係ありません。
これをおさえておきましょう!
育児休業給付金の条件では、「育児休業開始日」を基準に1ヶ月を区切ります。
一方、給与明細に書かれている出勤日数は「給料の締め日」を基準に1ヶ月を区切ります。
例.「給料の締め日」が20日の会社で、育児休業を「8日に開始」した場合
育児休業給付金の1ヶ月は「毎月8日~翌月7日まで」のことを言う。
給与明細の出勤簿には「毎月21日~翌月20日まで」の出勤日数が書かれる。
じゃあ育児休業給付金の条件でいう出勤日数はどうやって数えるの?
出勤簿・タイムカード・日報などから地道に数えるしかないです
とはいえ、「週5で産休まで普通に勤務してました」って方なら、数えるまでもなく条件クリアしてるので安心してください。
ここで数える出勤日数は、正式名称「基礎日数」と言います。
基礎日数について詳しくは「【超重要】基礎日数をマスターして育児休業給付金を上手にもらう方法」で解説しています。
基礎日数の数え方をマスターすれば、受給要件をクリアしやすくなり、給付額を減らしにくくできます。
出勤日数が足りないときの確認ポイント
給与明細の出勤日数が関係ないことがわかったことで、「もしかしたら出勤日数足りないかも・・・」と思ったら確認して欲しいことがあります。
まずは出勤以外で出勤日数に数えるもの。以下のものが該当します。
- 有給休暇
- 半日有給+半日欠勤
- 1時間有給+残り欠勤
- 遅刻・早退
- 休業手当を貰っての欠勤
それでも足りない場合、以下のことを確認しましょう。
- 労働時間が80時間以上ないか
- 2年以上さかのぼって数えられないか
- 前職の通算はできないか
詳細な解説をすると長くなるので省略しますが、気になることがあればコチラ↓の記事もご覧ください。
勘違いしやすいポイントに加え、本当に足りなかった場合の対策も紹介しています。
➡️ 育児休業給付金ギリギリもらえなかった?日数足りない?実はもらえるのにあきらめてるケース多数!
③「育休に入る直近2年の出勤日数で決まる」は×
少し調べたであろう方が勘違いをしているのが、「育休に入る直前2年の出勤日数を見る」という条件。
2種類の勘違いと、その上で注意するべきことを解説します。
直近4年まで見れる例外がある
まずは「直近2年」という原則に対し「直近4年」まで見れるという例外の存在。
この例外自体を知らないので、ケガや病気、1人目の育児等で休んでいたから育児休業給付金がもらえないんじゃないか?という相談が多いです。
原則では直近2年を見るんですが、その2年の中でケガや病気、育児などで30日以上会社を休んでいた場合は別。
最大4年まで見れるという条件に変わります。
この例外があるので、「第一子出産⇒育休⇒第二子出産⇒育休」という流れが可能になります
2年or4年ではない
たまにいるのが「原則は2年で、休んだ期間があったら4年になる」という勘違い。
4年というのは「最大4年」というだけで、2年半とか3年というケースもあり得ます。
「2年or4年」ではなく「2年~4年」が正解!
注意|第三子のときは慎重に
最後に注意事項。第三子を出産する際は慎重に確認しましょう。
最大4年さかのぼれるので、第一子産休開始から第三子育休開始までにほとんどズレなくできた場合、理論上は育児休業給付金を受け取れます。
しかし「保育園に入れなかった」などの理由で育休の延長があれば、一般的には受け取れないことが多いです。
- 原則は直近2年の出勤で条件をクリアしているか見る
- ただし2年の中で、ケガ・病気・育児などで30日以上休んでいる月があれば、その分を2年に加えられる
- 2年の中で休んだら一律4年になるわけではなく、あくまでも休んだ分だけ加えられる
- 第三子を出産するときは、例外を使っても対象にならないケースが出てくるので注意
詳しくは「育児休業給付金で4年遡りの条件|誰も解説してない例外の例外」で解説しています。
年子の出産や、子供は3人以上欲しい!という方はご覧ください。
まとめ|年間150件の回答で感じた育児休業給付金のよくある勘違い3選
- 在職1年未満でも受け取れる
- 給与明細の出勤日数は関係ない
- 最大で育休前4年まで見れる
育児休業給付金は制度が難しい上に改正も多いので、誤った情報があふれています。
「どこかのサイトで見た」「人事が言ってた」というだけじゃなく、ハローワークや専門家に確認をしておきましょう。
しっかり確認をしてからお休みに入りましょう!